宗教法人圓恵寺

久保通りを往く

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久保通りを往く

久保通りを往く

2021/10/24

上野殿母御前御返事

700年以上の昔からつづく久保通りという古い路である。拙寺は、大久保という村。門前の前の路を西山を経て上野郷に抜ける通りである。

弘安3年というから738年前、身延のお祖師さまに仕えた大信者の南條時光の弟七郎五郎が逝去されて49日を迎えた。その供養にと身延の日蓮聖人に彼らの母公は沢山の品々を送られた。

身延の日蓮聖人は、七郎五郎の菩提を弔い、供養の品に対するお礼を申し上げ10月24日に宛てられた便りに

故七郎五郎殿は、当世日本国の人々には似させ給わず。幼き心なれども賢き父の跡を追い、年未だ二十にも及ばぬ人が、南無妙法蓮華経と唱えさせ給いて仏に成らせ給いぬ」【急逝された次男は今の若い人に似合わぬ常識人。立派な父親の跡を兄上と継承されていた。そういう人人の唱える題目だからこそ、必ずや仏になることは間違いない】

と、南條家の篤き信仰を讃えられ、同時に最愛の子を亡くした母親を励まされた。

柿一籠

南條家の母親に宛てられた便りの一節。

「南條故七郎五郎殿の四十九日御菩提のために送り給う。鷲目、両結、白米一駄、芋一駄、摺り豆腐、蒟蒻、柿一籠、柚五十等云々。御菩提のために法華経一部、自我偈数度、題目百千辺唱え奉り候い畢んぬ」

駿河の多くのご信者は、食の乏しい身延へ度々ご供養の品々を熱心に届けられた。特に上野村の南條家は篤信の大檀越だいだんのつであった証である。

今日、決まって毎年拙寺にも身延に近い南部からこの柿が届く。恐々謹言。

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