宗祖のお言葉に「霊山にましまして、艮の廊にて尋ねさせ給へ…」よく聞くことば。引導教訣文に用いられるので、耳に馴染んでおられるのでは。この「廊」と書いて「わたりどの(渡殿)」つまり、屋敷と屋敷ををつなぐ廊下のことをいう。
前にも申し上げたが、「逍遥」とは気ままに歩く中でいろいろなことを見て感じて受けとめることであり、回廊や歩廊などの実際にあるくところもその類であることだった。
日蓮聖人の「わたりどの」の「廊」は、この世と向こう側(本宗は霊山浄土と呼ぶ)のつなぐところ、故人が向かう道程とも受け取れる。